2019.07.09|労務管理

打ちっ放しのフロア、更地…融資名目詐欺

東京地検特捜部が3日、強制捜査に乗り出した福岡市の保育コンサルタント会社「WINカンパニー」。代表取締役の川崎大資容疑者は企業主導型保育事業の申請代行業を掲げ、複数の保育所開設に関与したとされるが、中には全く建設が進んでいないものもあった。政府が子育て支援の目玉として進める同事業は「審査がずさん」との指摘もあり、巨額の助成金が“食い物”にされていた疑いも浮上している。

福岡市中央区渡辺通の一角にある商業用ビルの3階。フロア内は打ちっ放しのコンクリートがむき出しのままで、薄暗い上にほこりっぽい。今回の逮捕容疑と別に、川崎容疑者らが平成29年11月に企業主導型保育所の助成決定を受けた開設予定地では、設置工事を進めている様子はなかった。この施設は30年2月運営開始予定とされている。
別の施設も同様だ。30年度に助成決定を受けた同市南区柳瀬の九州新幹線高架下近くは、更地のままで雑草が伸び放題。プラスチックごみが無造作に散乱し、周辺住民に開設を知らせる看板などもなかった。
WINカンパニーの事業所では保育所名の「KIDS LAND」の旗が掲げられていたが、呼びかけに誰も応じなかった。逮捕された板倉真容疑者が代表取締役を務める会社では、女性従業員が「(捜査については)話してはいけないことになっている。社内でも話さないようにしている」と声を潜めた。

企業主導型保育所は、企業が主に従業員向けに整備する保育施設で、少子化対策や女性活躍推進の目玉として28年度に導入。運営・整備費は認可施設並みの助成が受けられる一方、乱立が問題化した。
会計検査院などによると、28~30年度に計約3800億円の予算が計上され、昨年3月時点で助成決定を受けた施設は2597カ所。だが、定員の半数を満たさない施設は全体の約4割に上っているという。
助成決定の審査は内閣府の委託を受けた公益財団法人「児童育成協会」が担当するが、「人手が足りず、ずさんな審査につながっている」(政府関係者)との指摘もある。
助成金を不正に受けた業者が摘発されたケースもある。愛媛など4県警の合同捜査本部は今年5月、保育所の工事費を水増しして助成金を不正に受け取ったとして、保育所運営会社の元代表ら3人を補助金適正化法違反(不正受給)容疑で逮捕している。

今回の詐欺事件では、川崎容疑者が実質的に経営するとされる「保育士相談窓口」(東京都板橋区)が、名古屋市に開設を計画した「金山熱田保育所」について助成金を申請。同協会は助成を決定せず、実際には整備されていないとみられる。
関係者によると、川崎容疑者は過去に「塩田大介」との名前で、マンション販売会社「ABCホーム.」の会長を務めていた。21~24年、法人税約1億3900万円を脱税したとする法人税法違反や、マンションの競売を妨害したとする競売入札妨害の罪で東京地検に起訴され、いずれも有罪判決を受けている。
特捜部は、川崎容疑者らが児童育成協会への助成金申請を繰り返していたとみて、支給決定のプロセスなどについても実態解明を進める。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/打ちっ放しのフロア、更地…融資名目詐欺-保育所は実態なし/ar-AADNjKn?ocid=spartandhp&fbclid=IwAR04LQxAbEFeNDAX3PM5YH6x9O__Yb0LECRzKpDSj0

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