https://www.chunichi.co.jp/article/636742~中日新聞ウェブ版の記事です
児童養護施設などを退所後に生活に行き詰まり、自ら命を絶つ若者がいる。本紙が中部九県の施設にアンケートをしたところ、二〇一五年度以降の退所者で少なくとも七人が自殺したとみられることが分かった。国は施設や里親の元を離れた「ケアリーバー」の支援を拡充する方針だが、最悪のケースを避けるための支援体制づくりが急務となっている。
本紙は一月十〜二十四日、愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀、静岡、石川、富山各県の百二施設にアンケートを実施し、四十七施設(46%)から回答があった。回答した施設が半数以下にとどまることや、退所後の行方を施設が把握できないケースもあることから、実際はさらに多い可能性がある。
退所者の自殺が「ある」と答えたのは四施設。うち東海地方の一施設は、退所者計四人が精神疾患や借金、困窮などを理由にそれぞれ自ら命を絶ったと答えた。
別の施設は、退所者一人が就職してから数カ月後に自殺したことを、警察からの問い合わせで知ったという。
このほか、二施設が退所者計三人の自殺未遂があったと自由回答で記載。別の四施設は、アンケート対象期間より前に退所した計五人が自殺とみられる状況で亡くなったと答えた。
ケアリーバーを巡っては虐待を受けた経験などから親を頼れないことが多く、就職などで自立した後の生きづらさが指摘されている。
厚生労働省は一昨年、全国を対象とした初の実態調査の結果を公表。二万人余を対象としたが、うち一万三千人余は、出身施設も連絡が取れないなどの理由で調査の案内ができなかった。
政府はケアリーバーへの支援を拡充する方針で、現行は二十二歳までとなっているアフターケアの対象年限撤廃を含む改正児童福祉法が二四年四月に施行されることが決まっている。
支援の担い手は施設などになる見込みだが、アンケートでは十二施設が、行政や福祉事業者など他機関と連携した支援体制が必要と訴えた。虐待を受けた入所児童への対応増や人員不足も背景にある。
同省によると、中部九県内の児童相談所が施設入所や里親委託などの措置を解除した件数は一五年度以降、平均で年千五百件余。今回アンケートの対象としたケアリーバーと年代が近い全国の二十〜二十九歳の自殺死亡率は、二一年の警察庁まとめで十万人あたり二〇・七人だった。
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