日経新聞ウェブ版の記事です。年金の請求漏れの多くは放逐であり、また厚生年金基金という聞きなれない仕組みに自分が入っていたとわかっていないことです。大手の会社に勤めたことがある人は一度年金事務所で確認した方が良いでしょう。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75185370X20C21A8PPK000/?unlock=1
もらえるはずの年金を請求していない人が多くいる。企業年金のひとつである厚生年金基金が典型例で、国の年金でも本体や加算部分などで手続き忘れがあるという。制度に対する知識不足や勘違いなどが主な理由だ。年金は老後の貴重な収入源だけに自分の加入記録などにも目配りし、受け取り忘れがないようにしたい。
「何、それ?」。社会保険労務士の永山悦子氏が先日、年金相談に訪れた60代の女性Aさんに「厚生年金基金に入っていましたか」と聞くと、こんな答えが返ってきた。短期間でも入っていればもらえる企業年金だと説明しても、自分が加入していたかどうか分からないと話す。企業年金連合会に連絡するよう助言したところ、Aさんは年3万円程度受け取れることが分かったという。
厚生年金基金は請求漏れが多い年金の代表だ。公的年金である厚生年金に上乗せ給付する企業年金で、老齢厚生年金の一部を国に代わって支給する。一時期は多くの企業が設立したが、解散や他の企業年金への移行が相次いだ。短期間で辞めた中途脱退者や解散した基金の加入者の年金原資は企業年金連合会が引き継いだ。このうち未請求が116.6万人(2021年3月末)に上る。以前よりは減ったが、100万人を超える水準が続いている。
60歳を過ぎ、国の老齢厚生年金を受け取る年齢になると受給手続きの封書が企業年金連合会から届く。請求すれば受給が始まる。ところが退職後に結婚して新しい名字になったり、住所が変わっていたりすると手元に届かないことがある。封書が連合会に戻ってくる「不達者」は65.1万人と未請求の半分以上を占める。
残りは封書を受け取ったとみられるが返事をしていない「請求保留者」だ。Aさんのように加入した認識がない人は珍しくないという。「厚生年金の代わりに納めた基金の保険料(掛け金)は給料天引きなので払った意識が低く、厚生年金と混同しやすい。特に若い頃に短期間加入したり、別の会社に転職したりした人は忘れがち」と社会保険労務士の森本幸人氏は指摘する。
「わずかしか働いていない」「勤め先が倒産した」などの理由で請求できないと思い込んでいる人もいるという。しかし連合会が引き継いだ基金は1カ月でも加入していれば受給でき、時効も適用していない。勤め先がすでに倒産していても加入記録が引き継がれていれば受給できる。
企業年金連合会が勤続10年未満などの中途脱退者に支給している年金の平均額は年5万円弱。未請求者の金額はもっと少ない可能性はあるが、少額でも「一度請求すれば終身で受け取ることができる」(同連合会年金サービスセンター)。老後の貴重な収入源なので、自分の加入記録を振り返るなどして該当する可能性があれば連合会に問い合わせたい。
一方、国の年金でも請求漏れがある。「もったいないことをした」。都内の男性は肩を落とす。今年6月に70歳になったのを機に退職。これまでもらっていなかった年金を受け取り始めたいと役所の窓口で相談したところ、特別支給の老齢厚生年金90万円程度を受給できないことが分かったという。
60歳になったとき請求手続きをする書類が届いたが「年金は早くもらえば損、遅くもらえば得」と考えて放っておいた。その結果、受け取りの時効である5年が過ぎ、権利が消滅した。
年金の支給開始は65歳が原則だが、60~64歳を対象にした特別支給の老齢厚生年金という仕組みがある。平均的な年金月額は10万円前後とみられる。働いて給料が多いと支給停止になるが、一定の水準を超えなければ受け取ることができる。
この特別支給について、65歳から受け取る本来の厚生年金や国民年金の繰り上げ受給と勘違いする人がいる。厚生、国民年金は繰り上げると減額、繰り下げると増額になり、その金額が一生続く。繰り下げは年金の受給額を増やす手段として注目を集めているが「特別支給は別ものなので、受け取っても65歳からの年金は減らず、受け取りを遅らせても増えることはない」と社会保険労務士の望月厚子氏は注意する。
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