政府は家族の医療費が一定額を超えた場合に税負担を軽くする医療費控除の手続きを全ての人を対象に自動化する。マイナンバーカードの活用による新しいシステムを作り、1年間の医療費を自動計算して税務署に通知する仕組みだ。2021年分の確定申告をメドに始める。確定申告の煩わしさを軽減する効果を実感できるようにして公的サービスの電子化を一段と加速する。
政府は行政手続きを簡便に済ますことができるデジタル社会作りをめざしている。社会の生産性を向上させ、経済成長につなげる狙いだ。マイナンバーカードの普及をその中核と位置づける。
日本の医療費控除の利用者は年間約750万人。現在もネットを活用して申告できるが、医療機関名や支払った医療費、保険で補填される額などを自ら入力して書類を作成する必要がある。
医療費控除が適用されるのは1年間の家族の医療費から保険で補填された額を引いた額が10万円を超える場合だ。1年間、領収書を残して計算しても基準に達しないこともある。領収書の保存や申告書作りが面倒で初めから利用しようとしない人もいる。
政府は21年3月にマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにする方針だ。新システムは保険診療のデータを持つ社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険中央会のシステムを政府が運営する「マイナポータル」のシステムとつなぐ。国税庁のシステムとも連携し控除の申告を完全に自動化する。
確定申告する際にはまず国税庁の申告書作成のサイトに入り、マイナンバーカードで個人認証する。「医療費通知」のボタンを押すと、1年分の医療費の合計額が一目で分かるようになる。控除の適用基準を超えていれば、そのままサイト上で申告できる。領収書を保存しておく必要もない。
政府は17年の税制改正で、個人が健康保険組合から1年分の医療費を記した「医療費通知」をネット上で取得し税務署に提出できるようにした。ただ加入する健保組合のシステム対応が必要で、広がっていない。
海外では行政手続きの電子化が進んでいる。韓国では税務の電子申告の利用率が9割を超える。国税当局のサイトを通じて医療費や保険料、教育費などが確認でき、間違いがなければそれを基にオンラインで控除の申告ができる。エストニアでは個人番号カードでほぼ全ての行政サービスが受けられる。日本のマイナンバーカードの交付実績は19年4月時点で1666万枚と人口の13%程度にとどまる。
現在、マイナンバーカードがあれば「マイナポータル」を通じてネット上で行政サービスの利用などを申請できる。カードの普及が進めば書類や対面での行政手続きを原則、全廃できる可能性がある。民間サービスにも広げれば、例えば引っ越しの際に役所に転出入届を提出するだけで電気・ガスや郵便物の転送、運転免許証の住所変更などが一括してできるようになる。 ~以上 日経電子版より
今後はどんどん電子化が進んでいきます。手続きもどんどん簡素化されてわかりやすくなっていくことでしょう。
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