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年金減額迷走

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52431490R21C19A1EE8000/~日経新聞の記事より
働く高齢者の年金を減らす「在職老齢年金制度」を巡り、厚生労働省が65歳以上の年金を減額する収入の基準を現状の月47万円で維持する方向に傾いてきた。同省が10月に示した月62万円という当初案に「お金持ち優遇」と与党などから批判を受け、月51万円に修正したものの、反対意見がなお収まっていないためだ。60~64歳は基準が月47万円になれば現状の月28万円よりは上がる。
在職老齢年金は厚生年金と賃金の合計が基準額を超えると年金が減る仕組み。65歳以上は月47万円、60~64歳は月28万円が基準額で、108万人の年金の支給を一部止めている。一定の収入のある高齢者に年金の一部を我慢してもらい、将来世代のために取っておくのが制度の趣旨だ。
一方で高齢者の就業意欲を阻害しているとの指摘もあり、政府は減額基準の見直し議論を始めた。生産年齢人口の減少に対応するため、高齢者の就業促進は政府の重要課題だからだ。
厚労省は10月に60~64歳、65歳以上ともに月62万円に引き上げる大胆な改革案を示した。ただこのときから反対意見が広がった。
厚労省は見直しを議論する社会保障審議会に示した資料で、60~64歳の減額基準引き上げは「一定の就業促進効果がある」とした一方、65歳以上は「効果は確認できない」とした。65歳以上で基準を見直す根拠は揺らいだ。加えて、将来世代の給付水準が下がるという「不都合な真実」にも注目が集まった。
公的年金は現役世代から高齢者への仕送り方式で、給付に回らなかった分は積立金になる。いま払いすぎれば、将来世代のもらえる年金額は減る。在職老齢年金で支給を止めている年金額は、直近の試算で年約9千億円にのぼる。月62万円まで減額基準を緩めれば、給付が数千億円増え、年金の給付水準の指標である現役男性会社員の手取り収入に対する高齢夫婦世帯の年金額の比率(所得代替率)は将来、0.2ポイント下がる。
批判にさらされた厚労省は11月13日、減額基準を51万円まで下げる案をまとめ、社保審でもおおむね了承を得た。所得代替率への影響は0.1ポイント未満だ。ただ、それでも与党の一部から懸念する声がやまない。
公明党の19日の会合では「在職老齢年金の見直しで就労効果が見込めるのか」との疑問の声が出た。基準を見直しても恩恵を受ける65歳以上はごくわずか。現役世代だけでなく、高齢者間でも不公平感が強まりかねないとの声もある。
65歳以上の減額基準引き上げが不可欠との立場を取ってきた厚労省内からも「60~64歳の減額基準見直しだけでも改革だ」との声が漏れ始めた。二転三転が続く在職老齢年金の改革は小幅にとどまる公算が大きくなってきた。
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