2022.08.05|労務管理

雇調金の不正が多い?

不正受給者がこれからまだまだ出てきそうですね?
コロナ支援金の調査甘く 相次ぐ不正、検査院が是正要求

日経新聞ウェブ版より~https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE02AYG0S2A800C2000000/?unlock=1

新型コロナウイルス対策で政府が実施した雇用調整助成金や休業支援金の不正受給を巡り、会計検査院は4日、所管する厚生労働省に調査手法の改善を求める異例の是正要求を出した。検査院の調べで約3億円の不正受給などが新たに判明、総支給額が5兆円を超える事業の事後調査の甘さが露呈した。海外では人員を増強するなどして徹底した調査を進める国もある。業務のデジタル化などで迅速な給付と不正防止を両立させる仕組みづくりが不可欠だ。

検査院が厚労省から2020~21年度の申請データの提供を受けて調査したところ、新たに計約3億1700万円分の不正や不適正な受給が見つかった。原因は厚労省が給付金支給後に実施した「事後確認」と呼ばれる調査の甘さにある。

厚労省が事後確認で見落としていたのは、事実と異なる書類を作成して手続きする虚偽申請のほか、雇調金と従業員向けの休業支援金の重複支給など。不自然に多額の助成金を受給した事業者への実地調査が不十分だったり、休業支援金を支払った従業員の勤務先への支給状況の確認を怠ったりしたことが原因だった。

厚労省は20~21年度の雇調金や休業支援金で計716件、約66億7000万円分の不正受給を確認している。21年度の申請件数は合計で約610万件だった。今回見つかった不正受給などは特定の労働局を対象にした抽出調査の結果も含まれており、検査院関係者は「氷山の一角」とみる。事後確認が適切に実施されれば、不正受給額はさらに膨らむ可能性が高い。

雇調金の支給目安は申請から原則2週間以内だ。厚労省の担当者は審査体制について「申請が相次ぐ中、各労働局のマンパワーが足りず、十分にできていなかった」と説明する。同省は各労働局に不正受給対策のチームを作るよう指導したが、実際には職員が窓口の受け付けや申請書類の審査なども兼務しているとみられる。

西日本のある県の労働局の担当者は「迅速給付のために、日々、膨大な申請の書類のチェックに追われている。事後確認まで手が回らない」と漏らす。厚労省は検査院の指摘を踏まえ「支給記録の分析を強化するなど的確な審査に努める」としている。

コロナ下で経営が悪化した事業者を対象とした持続化給付金や家賃支援給付金を合わせた支給額が12兆円を超える中、不正受給の発覚は少なくない。刑事事件に発展する例も多く、警察庁によると、持続化給付金の不正受給の検挙件数は5月までに全国で3300件超、被害総額は32億円超に及ぶ。

海外では参考になる不正防止策もある。

英国では、企業向けの資金援助事業の申請を管理するシステム上で不審事例を排除する仕組みを設け、現在のレートで300億円超の不正受給を防いだとされる。支給後には1000人規模の事後審査専門チームを発足させ、20~21年に800億円超を回収した。

労働政策研究・研修機構によると、ドイツではコロナ関連の不正受給のパターンを識別するソフトウエアを運用して探知するなど、ICT(情報通信技術)を活用した対策を取っているという。

長引くコロナ下では、迅速な給付と不正防止のバランスをどう取っていくかが問われる。

法政大の小黒一正教授(公共経済学)は「日本では虚偽申請は少ないという『性善説』に基づき、少人数で審査にあたる場合が多く、不正防止策として限界があった」と指摘。「不正の抑止や調査の効率化を図るためにも、マイナンバーと振込先の銀行口座がひもづく受給者のみに支給するなど、行政のデジタル化をいっそう進める必要がある」と話す。

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