2022.05.26|労務管理

副業・兼業を認めた就業規則

厚生労働省から、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が公表されました。
注目すべきは、これに合わせて、厚生労働省が公表している「モデル就業規則」が改定されたことです。以下で、ポイントを紹介しておきます。
――――― 副業・兼業の促進 ガイドラインの策定とモデル就業規則の改定 ―――――
●副業・兼業の促進に関するガイドラインの策定
このガイドラインでは、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当であるとし、副業・兼業を禁止、一律許可制にしている企業は、副業・兼業が自社での業務に支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討することを求めています。
また、『「副業・兼業の促進に関するガイドライン」パンフレット』も公表され、ガイドラインの内容の補足説明もされています。たとえば、割増賃金の支払義務について、次のような例も掲載されています。
【例】事業主Aのもとで働いていた労働者が、後から事業主Bと労働契約を締結し労働時間を通算した結果、法定時間外労働に該当するに至った場合、事業主Bに法定の割増賃金の支払い義務があります。
(後から契約を締結する事業主は、その労働者が他の事業場で労働していることを確認したうえで、契約を締結すべきとの考え方によるものです。)
●モデル就業規則の改定
① 副業・兼業関係
労働者の遵守事項として、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定がありましたが、この規定を削除の上、次の規定が新設されました。
(副業・兼業)第●条
1 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合
② その他
平成 29 年1月施行の男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法の規定に対応すべく、ハラスメントの禁止の規定が整備されました。あわせて、性的指向・性自認に関するハラスメントを禁止する旨の規定も置かれました。
その他、最近の制度改正に関する解説を充実させるなど、所要の整備が行われました。
☆ 副業・兼業については、本条は、あくまでも副業・兼業に関する規定の一例でありモデル就業規則については、各企業において必ずこの規定例どおりの規定にしなければならないという性質のものではありません。ガイドラインについても、現行の法令や解釈をまとめたものであり、副業・兼業の禁止を義務付けるものではありません。

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