2021.07.13|障害年金

日経新聞に障害年金の記事

日経新聞のマネーのまなびに私が所属している 障害年金支援ネットワーク が取り上げられました。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD01EXZ0R00C21A7000000/?unlock=1

障害年金、うつ・がんも対象 申請漏れ多く時効は5年

ケガや病気で生活に支障がある人がもらえる障害年金。受給者は拡大の一途だが、制度の理解不足から申請漏れがかなり多いとされる。仕組みと賢く受給するための注意点をまとめた。

知らずに未申請
都内の男性Aさん(46)は会社員だった30歳ごろ、職場の人間関係からうつ病となり退職、自宅でひきこもっていた。親類に「障害年金の対象かも」と助言されたのをきっかけに申請すると、14年前から障害2級の状態だったと認められ、年に120万円を受給できるようになった。ただ障害年金の時効は5年。遡って5年分はもらえたが、9年分の1100万円弱は時効消滅してしまった。

障害年金は目や手足の障害だけが対象だと思う人が多い。実際はうつ病など精神疾患、糖尿病といった内臓疾患やがんなど、傷病名にかかわらず、生活や仕事に支障がある状態になれば請求できる。Aさんの申請を手掛けた社会保険労務士の漆原香奈恵氏は「自分が対象になると知らず、申請しない人も多い」と話す。

障害年金は国民年金または厚生年金の被保険者(被保険者だった一部の人などを含む)が障害の状態に該当し、原則保険料の納付要件を満たせば受給できる。年金というと高齢期のイメージだが基本的に20歳以上なら受給対象だ。

受給者は2019年度で210万人を超え、15年間で3割弱増えた。半数強を占める精神・知的障害の増加が大きな要因。「ADHD(注意欠陥多動性障害)の若者が就職後のストレスで精神障害になり受給するケースもある」(社労士の内田健治氏)。コロナ禍の長期化でうつ状態の人は増えているとみられ、対象者は拡大している公算は大きい。

配偶者や子の加算も
受給で原則必要なのが保険料納付。初診日の前日時点で、初診日の前々月までの年金加入期間に3分の2以上保険料を納めている(免除・猶予を含む)か、前々月までの直近1年間に未納がないことが条件だ。「1カ月足りずに受給できない相談者もいた」(漆原氏)。コロナ禍で納付が厳しい場合も、必ず免除や猶予の手続きをとっておくことが大事だ。

障害の区分は状態の重い順に1~3級に分かれる。日本年金機構はホームページに1級なら「両手の機能に著しい障害」などの例を挙げている。ただし精神・内臓疾患など他の傷病でも、生活や仕事で同様に支障があれば同じ等級になる。「1級はベッドの周辺で1日を過ごす」というイメージだ。

初診日に厚生年金に加入していれば障害厚生年金、そうでなければ一定の条件で障害基礎年金の対象になる。障害基礎年金の2級なら、老齢基礎年金の満額と同額で21年度は年78万900円。1級はその1.25倍だ。18歳までの子がいれば加算される。1級で子が1人なら年約120万円だ。

障害厚生年金は加入期間(最低25年で計算)や収入で変わり、一定条件で配偶者の加算がつく。障害基礎年金ももらえるが、3級は障害厚生年金のみ。障害厚生年金1級で配偶者や子がいれば、基礎年金と合計で年200万円を超えることも多い。非課税なので大きな助けだ。しかし会社員時代に傷病が始まったのに診察を受けずに退社し障害基礎年金しかもらえない人も多い。初診日が厚生年金に加入している期間に入るよう退社前に必ず受診しておくべきだ。

もちろん可能なら仕事を続けたい。神奈川県の男性Bさん(56)は長く内臓疾患で寝たり起きたりの状態だが、リモートワーク中心に働き続けていた。「仕事ができていれば受給は無理」と思い込んでいたが、治療費が高額で生活に困窮した。社労士の相川裕里子氏の助力で申請すると、障害厚生年金2級が認められた。「症状や働き方しだいでは受給できることを知っておきたい」(相川氏)。厚生労働省の統計では障害厚生年金3級では6割が働いている。

受給には初診日がいつかを証明することが必要。通常はカルテを基に申請書類を作るが、カルテの保存期間は最後の受診から原則5年。5年を経過してから受給の可能性に気づいた場合、初診日の証明が難しいことがある。しかし相川氏は「5年以上カルテを保存する病院もあるし、廃棄されていても2番目以降に受診した病院のカルテ、民間保険会社への請求資料や第三者の証言などで初診日を証明できるケースもある。あきらめないことが肝心」と話す。

医師の診断書が重要
障害年金の請求の形は様々だ。まず知っておきたいのが、障害状態に該当するかどうかを判断する障害認定日。初診日から1年6カ月を経過した日、またはそれ以前に治療の効果が期待できなくなり症状が固定した日だ。認定日から長期間経過後に請求しても冒頭のAさんのように遡及して受給できることもある。ただし5年を超える分は時効消滅する。

認定日時点で不該当だったが、その後に重症化した場合は「事後重症」という手続きがあり、受給を請求した時点の診断書で判断する。認定日時点で制度を知らず、後で気付いて認定日の診断書が入手できない場合も対象になる。

認定は書類審査だけで決まる。最も重要なのが医師の診断書だ。内田氏は「医師の前で無理に元気そうにしたことが診断書に反映され、障害が軽度と判断されてしまうケースもよく見られる」と注意喚起する。診断書に書かれる日常生活の様子などについて医師が正確に把握していないことも多い。本人や付き添う人が「日常生活に支障があることを診療の際にきちんと医師に説明することが大切だ」(内田氏)。

決定不満なら再審査も
受給の可否や等級は障害認定基準に基づき厚生労働相が決定するが、本人が思う状態と違う結果になり不満が残ることもある。その場合は「社会保険審査制度」を利用できる。最初の決定から3カ月以内に請求し、社会保険審査官による審査を受けられる。それでも不満なら、社会保険審査会に2カ月以内に再審査請求をする。障害年金の案件は審査会全体の8割程度に達する。

審査会で主張が認められる「容認」は毎年1割前後だが、請求を機に当初の決定が見直された結果、実質的に主張が通り請求を取り下げるケースもある。容認と取り下げの合計で2割以上になる年度も珍しくない。

認定手続きや再審査請求は社労士などの助けを借りるのも手だ。ただ障害年金で受給に成功すれば比較的多額の報酬を得られることも多いため、十分な知識のない社労士が新規参入している例もある。NPO法人「障害年金支援ネットワーク」では無料電話相談(固定電話からは0120・956・119)があり、必要なら全国の障害年金に詳しい社労士を紹介する。受給決定で、経済不安から無理に早期に復職する必要がなくなり症状悪化を防げる場合も多い。生活面の安心感から精神疾患が改善することもよくみられる。

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