2020.03.23|労務管理

中小の健康保険料、地域差広がる

日経電子版の記事です。 新型コロナウイルスの記事が多い中でこのようなことが埋もれていくのはまずいかな、と思います。差が4倍できた地域差は仕方ないではすまないのでは・・・

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56123960X20C20A2MM8000/~日経新聞電子版

中小企業が加入する健康保険で、保険料の地域差が拡大している。2020年度は最も高い佐賀県が10.73%で、最も低い新潟県より1.15ポイント高くなる。格差を縮める措置が19年度で終わり、労使折半の保険料の負担は企業で年数百万円、個人では年数万円の差になる。医療費がかさみ保険料が高い地域は、医療の効率を高める努力を一段と迫られる。

主に中小企業を対象とする全国健康保険協会(協会けんぽ)が20年度の保険料率を決めた。全国平均の料率は12年度以降、10.0%を保っているが、実際の料率は都道府県ごとに異なる。加入者1人あたりの医療費が多いほど料率が高くなる。最も高い県と低い県の料率をみると、20年度の差は6年前の4倍近くに広がる。

協会けんぽ佐賀支部の試算によると、従業員300人で平均の標準報酬月額が30万円の企業の場合、企業の負担は最も料率が低い新潟県と比べて年621万円多い。従業員も同額を負担するため、1人あたりの収入は年2万円超少なくなる。佐賀支部は「企業の存続にかかわる重大事」として、格差が広がりにくい仕組みを求めている。
保険料が高いと企業と個人の負担が増す。大和総研の神田慶司氏は「保険料率が高い地域ではその分、企業の投資や個人消費に回らなくなり、地域経済にマイナスだ」と指摘する。
保険料率を地域別に見ると西日本はおおむね全国平均の10%を上回り、東日本は9%台にとどまる都県が多い。保険料は医療機関が多く、診療を受ける人が多い地域ほど上がりやすいとされる。
高齢化が進む中で医療費を抑えるには、医療費がかさみやすい生活習慣病の予防などが欠かせない。20年度の保険料率が最も低い新潟県は、生活習慣病を予防するための健診の受診率が高い。実施体制を備えた健診機関と協力して事業所に受診を呼びかけている。
都道府県ごとに保険料率を定めるのは、地域ごとに医療費の抑制を促すためだ。協会けんぽは09年度に全国一律から都道府県別の料率に切り替え、格差が急に広がらないよう経過措置を講じてきた。それが徐々に縮小されて19年度で終わり、20年度は一段と格差が広がることになった。
企業は赤字なら法人税の負担はなくなるが、社会保険料は業績にかかわらず払う。協会けんぽの料率には65歳以上の高齢者医療制度を支えるための「仕送り分」を含む。19年度は1.73%の介護保険料、18.3%の厚生年金保険料を加え、中小企業の社会保険料は平均で計30.03%となった。
大企業の健保組合より先に30%に達し、中小企業の負担感は重い。さらに20年度は介護保険料が1.79%に上がる。
国民所得に対する税と社会保障の負担の割合を示す国民負担率をみると、日本は17年度で43.3%。米の34.5%より高いものの、英(47.7%)、独(54.1%)、仏(68.2%)より低い水準にある。ただ日本の負担率のうち社会保障は4割超を占め、米英仏の2~3割台より大きい。
医療機関窓口での負担引き上げといった改革には長い時間がかかる。一方で企業に負担を求めるだけでは、経済の足腰を弱らせる結果になりかねない。

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