2019.12.27|障害年金

年金制度の改革案が出ました

急速な高齢化の進展で予想される社会保障費の増大が迫る中、政府は公的年金制度の改革案をまとめた。中小企業のパート労働者や働く高齢者にも、年金制度を支える側に回ってもらう内容だ。来年の通常国会で関連法の改正を目指す。政府は、年金財政の基盤を強化し、将来の低年金・無年金者を減らすため、厚生年金加入者のさらなる拡大も視野に入れる。
年金改革の主な内容は▽厚生年金のパート労働者への適用拡大▽在職老齢年金制度の見直し▽受給開始年齢の選択肢拡大-の三点だ。
厚生年金のパートへの適用拡大は、フルタイムで働く正社員以外に、パートやアルバイトで働く人の厚生年金への加入者を増やす。
現状は(1)従業員が五百一人以上(2)賃金が月額八万八千円(年収約百六万円)以上(3)労働時間が週二十時間以上-などの要件を満たす短時間労働者が加入の対象で、勤め先の企業の規模がこの要件を下回ると、厚生年金には入れない。改革案は従業員数の要件を二〇二二年十月に百一人以上に拡大し、二四年十月には五十一人以上の企業まで二段階で対象を広げる。
厚生労働省の試算では、現在約四千四百万人の厚生年金の加入者数は、適用する対象を五十一人以上の企業まで広げた場合、新たに六十五万人が増える見通し。
働いて一定以上の収入がある人の年金を減らす「在職老齢年金」制度も見直す。現在は六十~六十四歳の場合、厚生年金と賃金の合計が月二十八万円を超えると、年金額が減らされる。
働いても年金収入が減らされる制度が、高齢者の就業意欲を損ねているとの指摘を踏まえ、今回の見直しでは、減額の基準を六十五歳以上と同じ月四十七万円超に引き上げる。実現すれば、新たに四十六万人が年金を満額もらえるようになる。給付に必要な財源は約三千億円と見込まれている。
受給を開始する年齢の選択肢も広げる。現在は原則六十五歳から年金を受け取り始め、六十~七十歳の間で受給開始年齢を選べるが、見直し後は七十五歳までの間で選べるようになる。開始時期を遅らせた場合は、年金額は六十五歳で受け取るより一カ月当たり0・7%増える。七十五歳まで遅らせた場合は84%増額される。
政府が今回の年金改革に取り組んだ理由は、急速な少子高齢化に伴う社会保障費の急増に備え、給付と負担のバランスの見直しを迫られたためだ。安倍晋三首相は自身を議長とする「全世代型社会保障検討会議」を九月に立ち上げ、年金、医療、介護、労働などの社会保障制度の見直しを進めている。
政府の推計によると、六十五歳以上の高齢者数がほぼピークを迎える二〇四〇年度には、社会保障給付費は約百九十兆円に増え、一八年度の約一・六倍となる。このうち、年金の費用が最も大きく、四〇年度には七十三兆二千億円に上り、一八年度の一・三倍に膨れ上がる。
一方、人口減少は続く見通しだ。四〇年の総人口の推計は一億一千九十二万人で、一八年から約千五百万人も減る。その中で長寿化により高齢者数は増え続け、六十五歳以上の高齢化率も28%から35%に上がる。
高齢者の生活を支える柱は年金だ。厚労省の一八年の調査によると、年金は高齢者世代の収入の六割を占める。公的年金・恩給を受給する高齢者世帯の約51%は、他に所得がない。
だが、年金の将来像は明るいとは言えない。厚労省が今年八月に公的年金財政の長期的な健全性をチェックした「財政検証」によると、経済が標準的に推移しても、将来の給付水準は現在よりも二割近く目減りする見通しとなった。
目減りする将来の給付水準を改善するため、政府は今回、働く高齢者を増やし、中小企業で働くパートなどの短時間労働者にも厚生年金に入ってもらう見直しを行った。
今回の改革の他にも、政府は社会保障の支え手を増やす取り組みを進める構えだ。中でも、バブル崩壊後の就職難に直面した就職氷河期世代向けに、政府は正規雇用者を三年間で三十万人増やす目標を掲げる。将来の低年金、無年金者の増大を防ぎたい考えだ。
~以上 中日新聞ウェブ版より
https://dbs.g-search.or.jp/aps/QCNF/main.jsp?ssid=20191226150034331gsh-ap03

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